記者職
岩内支局
前野 貴大
岩内支局の管轄は、日本海側の西部に位置する後志管内岩内町、共和町、泊村、神恵内村、寿都町、黒松内町、島牧村の7町村です。泊村には北海道電力泊原発があり、寿都町と神恵内村では原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が全国で唯一行われています。特に核のごみは、国の原子力政策の行方や、人口減少や産業衰退に悩む地域の将来を決める重要課題です。小さいマチで、日本、世界が抱える共通の課題に取材で向き合えるのは記者の醍醐味でもあります。賛否が渦巻く中、住民一人一人の地域に対する思いに寄り添い、かつ国策の問題点を考えながら取材を進めています。もちろん、各自治体の議会や警察取材、地域の催し、子どもたちのスポーツや文化活動での活躍も紙面で紹介しています。
岩内支局に異動した2021年3月はすでに核のごみ問題が表面化し、寿都町内で住民同士の分断を肌で感じました。地元では核のごみに関する発言がはばかられる雰囲気があり、初対面の記者の取材には、本音を話してくれないのが現実でした。そこで諦めては表面的な記事にしかならないので、まずは信頼関係の構築を大切にしました。毎日のようにマチに通い、今の思いを聞き、一緒に悩むことを繰り返しました。時には自分の考えも伝えて一方的でないやり取りを心がけました。少しずつですが打ち解け、マチの現状を紙面で伝えられていると思います。この経験は取材相手と信頼関係をつくる基礎になっています。
読者の存在です。この記事で何を知ってもらいたいのか、疑問が残らない分かりやすい文章になっているか。読んだ人に「そうなんだ」「ためになった」と感じてもらうために、丹念に取材して書くことがシンプルで一番大切だと考えています。取材相手の話を聞いて感じた「面白さ」や「問題点」を軸に深掘りし、その場で感じ取った相手の表情や言葉ににじむ思いを伝えること。納得いくまで取材を続け、事実を積み重ねた記事が読者の記憶に残ると思います。
地域の人との近さです。「小樽・後志版」といった地域面が各地方にあるため、地元の情報を細かく紹介でき、書けば書くほど住民の方との交流も増えてきます。居酒屋や喫茶店に行けば「あの記事読んだよ」。そこから新たなネタをもらえることも。名刺を持たない人たちと密にコミュニケーションを取れるのが道新の魅力です。読者の感想を直接聞くことができるのは、仕事のモチベーションにもつながります。小樽時代の取材相手とは今も連絡を取るなど、一生の付き合いになりそうです。
※記載の所属・担当業務内容は執筆時点(2022年11月)のものです。
2018年4月入社
小樽報道部。警察や海保、教育を担当し、火災や密漁といった事件事故のほか、コロナ禍の教育現場や観光公害も取材。
2021年3月
現職場
一番の息抜きはゴルフです。自然の中で思いっきりスイングするのはちょうど良いストレス発散になり、今年初めてニセコ町のゴルフ場に行きました。自宅近くには練習場もあるので1時間程度行き、リフレッシュしています。このほかには、日ハムやコンサドーレの試合をテレビで観戦したり、家族で近場に出掛けたりして過ごしています。3年程度で転勤する職ですが、小樽と岩内での生活は長期〝旅行〟のような気分で楽しいです。