INTERVIEW

先輩社員

記者職
根室支局 
武藤 里美

現在の仕事

 2019年7月に根室支局に着任し、本土最東端の根室のマチの出来事を取材しています。戦後70年以上経過してなお解決されない北方領土問題や、深刻なサンマの不漁に悩まされる基幹産業の水産業をはじめ、行政の取り組みや事件事故、勉強やスポーツに頑張る小中高校生など、あらゆることが取材対象です。2万5千人の小さなマチではありますが、市民がいま何に悩み、何に奮闘しているかをまとめ、地方版や全道版の紙面で紹介します。

仕事中の写真

入社してからの一番の試練・失敗談。また、どう乗り越えたか

 根室支局に異動して2カ月後の2019年9月、サンマ漁のために公海に出ていた漁船が転覆、1人が亡くなり7人が行方不明になるという事故がありました。「漁船が行方不明」の第一報を聞き、すぐに取材を開始。しかし、乗組員のご親族のもとを訪れたり、水産関係者の知り合いに連絡を取ったりしては「今は話せる気持ちじゃない」と断られました。近しい方が事故にあったという突然の知らせに動揺する方々の思いにどのように寄り添いながら、報道を行うか。その難しさに直面しました。厳しい公海で操業しなければならない漁業者の深刻な事情を伝えたいと自分の中で整理し、説明しながら取材を続けました。このジレンマと闘い続けていくのが記者の責任なのだと感じました。

仕事をする上で大切にしていること

 一人一人にきちんと向き合うことです。子育て中のお母さんたちに取材をした際に、「武藤さんは本当に興味を持って話を聞いてくれているからいろいろなことを話せる」と言われたことがあります。自分が「知りたい」という気持ちでお話を聞くことで、より深く取材することができると実感できた一言でした。何も知らない状態で相手に向き合っても関心がわくまで時間がかかってしまいますから、自分で事前にしっかり下調べしていく必要があります。大変ではありますが、そのことでより良い仕事になるのであれば苦労だと感じたことはありません。

道新で働くことのやりがい、魅力

 地方の実情を見つめながら、最前線で取材出来るのは大きな魅力の一つです。私は北方領土問題について関心があったので、元島民の方々に直接お話を聞き、国家間の思惑に振り回されてきた元島民の切実な思いに改めて衝撃を受けると同時に、頭でっかちだったこれまでの自分を深く恥じました。北方領土問題以外にも、農業や漁業など日本が抱える課題はたくさんありますが、その現場で試行錯誤する人々にお話を聞けるのは、北海道新聞ならではだと思います。

※記載の所属・担当業務内容は執筆時点(2019年12月)のものです。

入社後の経歴

2015年4月入社

編集局編集本部

2017年4月

旭川支社報道部。観光客急増による弊害「観光公害」の取材に力を入れた。

2019年7月

現職場

休みの日の過ごし方

 喫茶店でのんびり読書をしたり、ロシア語を勉強したりしています。根室にはロシア語の市民サークルがいくつかあり、私も所属してロシア語の学習を進めています。もともと独学で勉強はしていましたが、一緒に学ぶ仲間がいることが張り合いになり、これまで以上に一生懸命勉強しています。それでもまだまだ初心者レベルですが…。根室にはチェーン店のカフェはありませんが、「純喫茶」という雰囲気の落ち着いたお店が多いので、ゆっくり勉強しています。

休みの日